連載作品寸評コメント
たられば(@tarareba722)
編集者
たられば(@tarareba722)第一話の時点では「不動産屋って何をするの?」と聞いていた主人公が、さまざまな経験を経て社長である父親も含めてとりあえず一人前の社会人になってゆく話に着地しました。
ひとつの業界でプレイヤーとしてそれなりに活躍するためには、「それなりの人たちとそれなりの関係性を築いてゆく」という経験・場数が重要になってくるのですが(つまり「単発の優秀さ」はあまり通用しない)、「親子二代の不動産屋さん」だとその経験・場数を受け継ぐことができるんだなという学びもありました。終始、ビジネス作品として面白かったです。
社長(父親)のキャラクターが3話以降、「教える側」から「教わる側」になっていったのが、どうなるのかなとすこしハラハラしました。最終話で面目躍如してよかったです。
シャープさん(@SHARP_JP)
シャープさん(@SHARP_JP)
6人の漫画家が6作の連載をリアルタイムで行う今回の漫画賞だが、結果的に似通ったテーマや舞台を描く作品が複数生まれたのが興味深いなと、個人的に思っていた。そのうちのひとつが「仕事の誠実さとはなにか」を描こうとした作品だ。
自分の就活面接を差し置いてまで困っている人を助けてしまうお人好しが、しぶしぶ家業の不動産屋を継ぐことになるも、持ち前のお人好しで奮闘する、と書けばそれまでなのだが、ここで描かれたのはお人好しのほのぼのエピソードではない。ビジネスで人の心を動かすのは、結局のところ相手ひとりひとりに最適化された手間暇と工夫でしかないという、よくよく考えれば恐ろしいほど冷徹なことが説かれている。つまり私たちは、お人好しに油断してはいけないのだ。と同時に、私も毎日コツコツがんばろう、そう思える作品。