EU加盟国の先進デジタル施策推進を支援
海外の社会課題解決に寄与
EUにおける「自己主権型アイデンティティ」の確立を目指して
世界には、身分を証明できないために公的サービスを受けられず、不利益を被っている人々が少なくありません。こうした社会問題を、ブロックチェーンなどのデジタル技術を駆使して解決しようという試みが、現在、各国で進んでいます。
特にEUでは、住民に「デジタルID」を付与することで移民や難民など立場が不安定な人々でも公的に身分を証明でき、公共サービスや民間サービスを受けられるようにする取り組みが始まっています。このデジタルIDを使うことで国をまたぐ移動の自由も保証される見込みです。
またEUでは、従来、政府機関や企業で管理してきた住民の個人情報やIDを住民自らの責任で管理・活用する「自己主権型アイデンティティ」の構想が提起されています。こうした個人の権利やアイデンティティを巡る潮流の最前線において、実はクニエのコンサルタントが活躍しているのです。
ルーマニア・クルジュナポカ市における独自IDサービスの実証実験に参画
こうしたEUにおける一連のトレンドに取り組む国の1つが、ルーマニアです。同国では現在、全国規模のデジタルIDプラットフォームの構築が進んでおり、特に第三の都市であるクルジュナポカ市が展開している独自のデジタルIDサービスは、EU圏内でも高い注目を集めています。
同市は、市民の身分証明書を管理し、公的サービスなどに安全かつ容易にアクセスするための専用スマートフォンアプリ「Cluj(クルジュ)ID」の実証実験を開始。クニエはこのClujIDの構想・運用計画の策定からアプリケーションの開発、ClujIDを使った効果検証などを行うプロジェクトの全体マネジメントを担いました。
Google Playでリリースされたアプリ画面
本プロジェクトはもともと、総務省が策定した「総務省海外展開行動計画2025」において、今後強化すべき重点分野として掲げている「ICTソリューション」の一部として、日本政府のバックアップの下で実施されたものです。クニエは総務省からの委託を受けて、グループ企業であるNTTデータの現地スタッフらとともに、クルジュナポカ市の担当者と密接に連携しながらプロジェクトを遂行しました。
困難にぶつかりながらも、世界の社会課題解決に貢献できる醍醐味
ClujIDの試みは、デジタルIDの安全性や信頼性を確保するために「生体認証」「分散型台帳技術」「準同型暗号」などの先端デジタル技術を用いた、極めて難易度の高いプロジェクトでした。こうした技術面だけでなく、クルジュナポカ市の担当者の中には、デジタルIDや先端デジタル技術の価値をすぐには受け入れられない人もいたため、コミュニケーション面における困難にも突き当たりました。
クニエでは、オンラインでの会議やNTTデータの現地スタッフを通じてクルジュナポカ市の職員と積極的にコミュニケーションを取ることでデジタルへの理解を深めてもらい、最終的に、2024年1月にClujIDの初回リリースを果たしました。市役所の窓口担当職員やIT部門職員にClujIDへ登録してもらいながら、実用化に向けたオペレーション方法についてアドバイスするなど、アプリの開発にとどまらない支援も実施。アプリのプロモーション施策の計画・遂行、同市で開催された国際会議でのClujIDの発表など、多角的にClujIDの普及をサポートしました。現時点では実証実験の段階ながら、市民の利便性向上や市役所職員の業務効率向上などの成果が確認されています。
このように、クニエは、海外の行政機関と密接に連携しながら世界的な社会課題の解決に取り組むプロジェクトに数多く関わっています。もちろん、若手社員でもこうしたスケール、インパクトともに大きな案件に携わるチャンスは十分にあります。その分、さまざまな困難もついて回りますが、ハードルを乗り越え、世界をより良くしていく情熱がある人にとっては、クニエは非常に魅力的な環境だと言えるでしょう。