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Project

DRプロセス再構築プロジェクト

課題

  • – 属人的な判断で運用されている生産管理部門のDRプロセス
  • – DRの紙運用による他部門連携の難しさ

アプローチ

  • – DRプロセスのルール化と運用定着支援
  • – DR管理システムの導入

課題

大手プロセス系メーカーで、製品の品質問題が発覚。顧客の信頼を失う重大インシデントが複数組織で発生していた。形骸化・属人化した業務プロセスが原因の一つとされ、それは品質問題にとどまらず、納期遅れや極めて非効率な業務を招いており、その抜本的な見直しが急務となった。
クニエは現状調査から問題点を洗い出し、対策案を作成。各事業部のキーパーソンと議論してブラッシュアップする一方で、現場の実務者へのアンケートも行い、トップダウンとボトムアップ両方のアプローチで複数の業務改革テーマを策定した。テーマごとに具体的な施策案まで落とし込み、それぞれの実行ロードマップを計画。各施策をプロジェクト化し、全社的な業務改革を進めた。

当該企業の形骸化した業務プロセスの一つとして、DR(デザインレビュー)プロセスがあった。
本来DRは、受注後に製造上の問題が発生しないよう、受注可否判断のタイミングから各工程を進むごとに行われ、製品仕様の決定や生産計画と連動している。しかし当該企業では、このDRプロセスについて実施すること自体が目的となってしまっており、本来の目的を達成できていなかった。現状を整理すると、以下の課題が浮かび上がった。

・判断基準が明確に定義されていない

どのタイミングで、誰が、何を、どのようなやり方でレビューするのか、といった判断基準が明確に定義されておらず、参加者や評価責任者の属人的な評価方法となっていた。受注決定前に行うべきDRを受注後に行うケースも見られ、受注後の仕様の見直しおよびそれによるコストの増加、納期の遅れなどが生じる不適切な運用が常態化していた。

・DRが紙で運用されているため、他部門連携が難しい

DRの結果が紙で回されるため、営業活動や生産計画とタイムリーな連動ができていない状態にあった。生産計画にもとづいた量産タイミングの設定がされていないために生産ラインが圧迫されるなどの事態も起きており、他部門との進捗情報の共有ができないことは大きな問題となっていた。
また、DRの結果は紙で保管されたまま共有されることはほとんどなく、同様の問題が他の製品・工程でも繰り返されることが頻繁に発生していた。

アプローチと結果

DRプロセスのルール化と運用定着支援

まず、DRの各ステップにおいて、何の役割を持つ人が、何を評価するのかを再定義した。そのうえで各DRプロセスの開始条件、そろえるべき資料、評価者、評価内容、判断の基準を数値レベルで明確にし、ルール化。業務フローの整理を行い、タスク順序の見直しなども行った。ルール化したことにより属人化していた部分が標準化され、DRの品質が均一化した。また、ルールに基づいて適切に運用するため、多部門でそれぞれ個別に定義されていた業務規程を統合し、新しい運用にあった文言、役割への書き換えも支援。定めたルールに従って正しく運用できるよう、DR開催日程の調整、必要資料の事前チェック、結果の周知など、一定期間の事務局的支援も行った。これにより見直し後のDRが定常業務として適正に運用されるようになり、全体の作業品質向上を実現した。

DR管理システムの導入

紙運用によってDRの進捗が見えづらく他部門との共有が難しいことを改善するため、DR管理システムを導入。紙面にあったすべての情報をデータ化し、システムに投入した。一連のプロセスが見える化したことにより部門間の情報連携が効率化され、全体の進捗管理ができるようになった。受注前の営業部門と生産管理部門のコミュニケーションがスムーズになったことで、顧客要求の伝達漏れや最終的な製品仕様の認識齟齬がなくなり、顧客クレームが低減。また製造リスクが事前に評価・共有されたことで、無理な量産指示がなくなり、受注から量産まで実行可能なスケジュールで業務プロセスを進めることが可能になった。

DRプロセスの整備とシステム化により属人化していたプロセスが標準化され、作業品質と作業効率が向上。全社的な改革の前進に大きく寄与した。


DR全体概要プロセスの図

成功のポイント

多業種のDRナレッジを有するコンサルタントがリード。最も厳しい水準で行われるプロセス管理の一つである自動車業界のプロセス管理基準をベースに、当該企業の運用として実現可能な水準にチューニングした。
ルールを厳しくしすぎたり、プロセスを複雑にしすぎたりすると、運用が回らず時間とともに形骸化していく。そのため、QCDのバランスを意識して最低限守られるべきところを明確にしたうえで、その企業や業態に応じた基準・プロセスを顧客と共に作り上げていくことが重要。実務者目線で現場に入り込み、そこに根付く解決策の提示を行ったことがプロジェクト成功の鍵となった。

プロジェクトサマリ

  • ▪ 支援内容

    • – エンジニアリングプロセス再構築(DR : Design Review分析、DSM : Design Structure Matrix)
  • ▪ フェーズ

    • – 業務プロセスの調査~改革提案 : 約3か月(1~3名)
    • – 改革実行 : 約1年(1~3名)

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